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2007年11月25日 (日)

電脳コイル ~そのメカニズムと公共インフラの将来像(9)~

<メカニズム: バスは走る ~移動する座標系とリアルタイム性の問題~>

23回の解説で「量子通信によって驚異的な大容量高速通信が可能になった」の一言で済まされてしまったのだが、このページはあくまで「現在の技術の延長線上で、可能なことと困難なことを峻別する」のが目的なので反応速度の問題を取り上げてみようと思う。

「メタバグ争奪バスツアー」でバスの車内が電脳化されている事が示されているが、これをまともに実現する場合反応速度の問題を考慮する必要が有る。

デジタルネットワークやデジタル放送の隠れた欠点はリアルタイム性の欠如である。例えば地デジ放送ではアナログ放送で問題にならなかった時報や災害時緊急放送の遅れが心配されている。これをご覧になっているパソコンの時計はインターネット上の時刻サーバーを使って同期されているはずだが、数秒から数十秒程度の狂いがあるはずだ。HTTPのリクエストからレスポンス+表示までの時間だって1/10秒以内と言うわけにはなかなか行かないであろう。

例えばユーザーがバスの中に立ち、座席や案内表示などの車内の物体を見ているとする。もし、これら車内物体が電脳管理局やバス会社のサーバーで管理されている(遠くの事務所に設置されたサーバーに問い合わせを行い、レスポンスを受け取ってから電脳体が描画される)ものであり、その位置がグローバル座標系で管理されているのだとしたら何が起こるだろうか?バスが時速60km/hで走行している場合、これは秒速17m/secだから、リクエスト~レスポンスに1/10秒かかるとするとその間にバスは1.7m移動することになる。これではバスの乗客から見ると車内の物体の電脳体が皆1.7m以上も後方へずれたり追いついたりを繰り返すことになり、車酔いどころの騒ぎではない。だから、バス車内の物体の位置は全て車内の座標系で管理する必要がある。おそらくバス毎にローカルサーバーを搭載するのだろう。

車外に目を転じてみるとさらに問題は深刻である。自動車を電脳ナビで自動運転するのに実物体と電脳体が最大で1.7mもずれていたら、交通事故だらけになるだろう。運転に必要な精度はセンチメートルオーダーだから、レスポンス時間1/1000sec1.7cmと言ったところが要求される(これに端末側の処理時間も加わる)。これを解決するためには道路上に多数のカメラとレーザーセンサーを設置して道路上の物体を検出し、道路周辺に設置したローカルサーバーで電脳ナビや電脳メガネの問い合わせに瞬時に答えるシステムが設置されるだろう。(同じことを個々の自動車の電脳ナビで行うよりは、皆で同じデータを共有するほうが合理的だ。)

要するに、車等の移動する物体(とその内部)の表示には、大変な高速レスポンスが求められるのだ。

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