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2008年8月10日 (日)

スカイクロラ ~印象かディテールか?~

スカイクロラ見てきました。

映画館へ行ったのは何年ぶりだろう?僕は目が悪いので暗くて遠い画面は正直しんどいのだが、音響はさすがだった。家のショボいスピーカーやヘッドホンとは全然違う。

この作品は音響にかなり気を使ったそうだけど、それがよくわかった。たとえばユーイチが草薙に向かってピストルをぶっぱなす場面、バンという破裂音が強烈で、そのあと右の方で薬きょうが転がるチリンチリンという音がしばらく続いているのが印象的だった。我が家のオーディオも見直さなくては。

内容は・・・、なんて言うのかな、「きれいだけどちょっと頽廃的だなぁ」です。

「完全な平和が実現された世界のショーとしての戦争」と言うのは甘すぎると思う。ガンダムOOの「エネルギー問題は解決したけど戦争はなくならない」と言う設定に対するのと同じようなことを感じた。

21世紀初頭現在の人類はむしろエネルギー・資源・水・食糧・居住空間などを奪い合う悲惨な戦いに陥る際のところに居る。

「争う必要もないのに戦争が続く(戦争は人類の宿命)」と言う悲観的な話ではなくて、「生きていくために競合や対立はある程度避けられないけど、戦争以外にも解決手段はある」(制限付きの闘争とか、騙すとか、妥協するとかも含めて)と言う方が現実ではないかな?

さて、本題に入る。(問題は空中戦なんですよ、私にとっては。アッハッハ。)

押井監督は「宮さんには負けない」とか豪語していたとか(当然、紅の豚のこと)。悪くないとは思う、いや思っていた以上の出来だ。でも、(航空マニアが思わず)ニヤッとする場面と言うのは全然なかった(*1)。それと、「空中戦のフィルムをいろいろ研究したんだろうなぁ」とは思ったけれど、「自分で空を飛んでワクワクした感じ」を表現できているとは思わなかった(*2)。

(*1)は紅の豚をみていると気がつくことで、あれには「ここは横滑りを使っている」とか「あ、これはヨアヒム・マルセイユの逸話だ」とか、いろいろウンチク話がたくさん込められているのだけれど、それがスカイクロラにはほとんど見られなかった。

(*2)は機体の揺れとかスピード感や浮揚感のこと。スカイクロラの離陸はすべて、着陸シーンもほとんどが地上視点で、パイロット視点がほとんどない。それと着陸場面ではもっと機体が(ヨー・バンク両方向に)傾いた状態でアプローチして着地の直前に滑走路に正対するとかあってよい。その他、オイルのにおいも、機体の振動も、排気管の熱く焼けた感じも、エンジンを地上運転した時の轟音も、みんな希薄だ。

でも、上記のようなディテールに凝ったからと言って、良い映画になるとは限らない。

アクションは一瞬の印象が大事であり、それは画面の動きの良さで決まると思うので、ここに書いてきたようなあれこれのディテールを描こうとするあまりに動きが遅くなったり表現が冗長になったりでは駄作になってしまう。その辺はベテラン監督と僕のようなただの飛行機オタクとは全然違う点だろう。

だから、スピード感を保ってとにかく画面を止めない表現は良かったと思う。

と言うことで、航空マニア的ディテールは横に置いておけば良いのであって、動きと印象の方は良くできていたと思う。

(でももう少し高高度の空は濃い青で、空間が広く見えるともっと良かったなとは思う。)

あっ、そうそう。

最後の場面で・・・・・・・・・・

「ネタばれ注意」

主人公のクローンが配属されてくるってのは、萩尾望都の「AA´」のパクリだ。

どこかでオチを読んでしまってから見に行ったのは失敗だった。知らなければきっとラストシーンで泣いていただろう。

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