« 2008年8月 | トップページ | 2009年4月 »

2008年12月

2008年12月31日 (水)

メメントモリ攻略戦の科学考証

ツッコミばかり書いていると思われると嫌なのですが・・・

ガンダムOO#13“メメントモリ攻略戦”なかなか面白かったです。衛星兵器破壊ミッションと言うのは古くはヤマトやスターウォーズからseedまで定番シチュですが、さすがにサンライズの看板番組だけあってきっちりと作りこまれています。

が、しかし、間違っているのです。1stシーズンの冒頭でも言っていた様に、低軌道リングは無重力ではなく外へ飛び出せば落っこちしまうはずなのに、アロウズの宇宙艦艇とMSはメメントモリのすぐ脇でフワフワ浮いています。実際にはこの高度(地上から10,000km)に居続けたいならば、地球の引力と遠心力が釣り合うような速度で動いて居なければいけません。

ちょっと計算してみましょう。理屈は簡単、「引力は物体の質量に比例し距離の自乗に反比例する」「遠心力は半径に比例し角速度の自乗に比例する」です。定数はWikipediaから探してきました。

低軌道リングの地表からの高度

Hr

10,000

km

地球の質量

M

5.97E+24

kg

万有引力定数

G

6.67259E-11

m^3*s^-2*kg^-1

地球の赤道半径

R

6,378

km

地球の中心から低軌道リングまでの距離

r = Hr+R

16,378,000

m

重力加速度

g = MG/R^2

1.49

m/s^2

軌道速度(遠心加速度と重力加速度が等しくなる速度)

v = √(a*r)

4,933

m/s

軌道リング座標系の速度(地球の自転に伴う周速度)

vr = Hr*3.14*2/(24*60*60)

1,190

m/s

軌道リングに対する相対速度

v-v

3,743

m/s

計算結果は、軌道リングの位置での地球の引力(重力加速度)は約0.14G、この高度を回る衛星の速度は毎秒4,933m、対地速度は毎秒3,743m(時速に換算すると13,475km/h、およそマッハ13.5)になります。

つまり軌道リングの高度に居たければ、地球に向けてロケット噴射をするか、または(軌道リングの座標系で)西から東に向かってマッハ13.5で(東から西ならばマッハ22)でぶっ飛んでいかないといけないわけです。

だから、メメントモリ周辺で待ち構えるアロウズ艦隊に対して高速で突進するトレミー、と言う図式はあり得ません。アロウズ艦隊は速度を落とせば地球に向かって落下しますし、トレミーの方は速度が上がれば軌道半径が増大して地球から段々離れていきます(上昇するとも言う)。宇宙空間では高度、方向が同じ軌道で速度だけが異なると言うのは無理で、一瞬軌道が交差して離れていってしまうだけなのです。

それと画面上でのトレミーの動き、マッハ13に見えたでしょうか?私には鉄橋の上を通過する暴走特急くらいにしか見えません。毎秒3,700mで接近するのですよ、「がんばってロックオン」「よっしゃぁ狙い打つぜ!」などと悠長な会話をしている間に通り過ぎてしまいます。右から飛んできたダブルオーと左から飛んできたガデッサがチャンバラしていましたが、このまま衝突したら刹那はペッチャンコですよ。マッハ13から減速するなんて大変なことをやっているように見えましたか?

と言うことでSFアニメの絵コンテを切る人は、高校の物理学の教科書をひっくり返して勉強しないといけないんですね。大変だぁ。

受験生のかたで(サボっていて)これを見た人がいたらちょっと頭の体操に使ってみてください。物理の試験で類似問題が出たらばラッキーってことで・・・・

| | コメント (1) | トラックバック (2)

« 2008年8月 | トップページ | 2009年4月 »