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2009年7月

2009年7月25日 (土)

WW2大戦機の主翼構造の考察(その4、F4F、F4U、F6F)

F4FとF4Uは単桁構造で、外翼部はいずれも前縁・主桁間を閉断面としている。翼内にブローニングM2をずらっと並べていることと、内翼と外翼が翼折りたたみジョイントでつながっている構造からみてこの構造は当然だろう。大きく異なるのは内翼部(主脚引き込み部~翼胴交差部)の構造だ。

図 F4F-4の主翼構造と胴体断面

F4f

F4Fの主桁はまっすぐ通すとパイロットの足のあたりに干渉するため、大きく前方に曲げられて防火壁のあたりを貫通している。燃料タンクはパイロットの真下、ビヤダル型の胴体の下半分を占めている。主脚は胴体内引き込み方式のため、主翼の設計の自由度は高い。面白い事にF4Fの主桁とF6Fの前桁はどちらも後ろに傾いている。斜めになった主桁をさらに斜めに切ってヒンジをつけると、ちょうど後ろ斜め方向に主翼をひねって折りたたむことができる(図参照)。しかし折りたたみ機構だけのためならばヒンジだけ傾斜させれば良いことだ。主翼に加わる力は上向きの揚力と後ろ向きの抗力だから合成すれば斜め後ろ上方となるからこれで良いと考えたのかもしれない。

図 F4U-1Aの主翼構造

F4u

F4Uの内翼部は複雑でかなり無理をしている。主脚引き込み部の下面は主脚付け根のある前縁付近からフラップ付け根まで大きく切り開かれており、この部分は箱型断面ではなくフレームで支える構造になっている。おまけに主脚支柱を避けるために主桁下側をかなり切り欠いておりなんとも危なっかしい。その内側は前縁がキャブレター・インタークーラー・オイルクーラーのインテークを配置したダクトになっているので主桁からフラップ付け根までが箱型断面となる。F4Uのこの辺の主翼構造は写真で見てもかなり大袈裟なものでいかにも重そうだ。その一方で(F4F-1の場合)外翼部の主桁より後方は木材と帆布を組み合わせてチマチマと重量低減を図っているあたりがなんだかチグハグだ。

図 F6Fの主翼構造

F6f

F6Fは二本桁構造で、翼内タンクは桁間に、胴体内燃料タンクは後桁後方パイロットの真下に置く。燃費の悪そうなR-2800エンジンにも関わらず十分な航続距離を稼げたのは、上下にタッパのある胴体を有効活用した成果だろう。
F6Fの主脚も後方引き込み方式なので主翼下面は前から後までザックリと切り開かれる。しかしF4Uに比べるとタイアを後桁後方に置いているために開口部の幅は小さく、2本桁間の箱型断面構造をある程度残している。主脚引き込み部から主翼折りたたみ部までの構造がどうなっているのかは資料が十分でなくはっきりしないが、おそらく2本の桁で支えているのだろう。
この図では縦通材を書き込んでいないのでわかりにくいが、胴体も含めたF6Fの構造は障子の桟のように縦横の小骨を密に配置して、被弾しても崩壊しにくい機体構造を実現している。胴体後半部に凸リベットを用いていることは有名だが、これも一見大雑把なように見えて緻密な判断があると思う。つまり、枕頭鋲のために手間のかかる工作を行うよりは、小骨を密に配置し十分な数のリベットを打つことで撃たれ強い機体としたのだろう。

<参考文献>
1) “エアロ・ディテール グラマンF4Fワイルドキャット”、大日本絵画、1998.10
2) “エアロ・ディテール ヴォートF4Uコルセア”、大日本絵画、1999.08
3) “世界の傑作機No.115 グラマンF4F/F6F”、文林堂、1979.11

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2009年7月 8日 (水)

提案 ~児童ポルノ規制法強化に関して~

前回の記事で以下の問題点を指摘した。
・規制内容が広範囲かつ曖昧である
・単純所持の禁止によって冤罪・違法捜査の危険性が高まる
・過去に訴求した単純所持の禁止は一種の焚書(過去情報の抹消)であり、歴史記録の抹殺を一般市民に強要する暴挙である
・仮想・創作への規制は内心の自由への侵害であり、「考えただけでは罪にならない」とした近代刑法の原則から大きく逸脱するものである
・科学的・客観的な証拠が提示されていない

もしも児童ポルノ規制の強化がどうしても必要であると言うのであれば、これらの問題を防ぐため以下のことが必要である。

提案
・電脳警察の肥大化を食い止める
児童を守ると言う本来の目的を権限強化や予算獲得、さらには市民監視の手段として利用してはならない。警察の任務は現実世界での治安維持と犯罪取り締まりであり、仮想世界を倫理的に浄化することではない。ネット上の監視や作品の検閲(倫理上の適正性の判断)等のために警察および警察OBが関与する天下り組織にこれ以上の権限と予算を与えてはいけない。ゲーム・アニメ・コミックに関する政策は文部科学省(文化・教育)、通商産業省(コンテンツ産業育成)、ネットに関する政策は総務省(情報通信)が担当すべきではないだろうか。

・曖昧な規制の禁止
単純所持禁止と仮想・創作への規制に隠れてきちんと議論されていないようだが、警察は実質的な規制レベル(年齢・服装等)の強化も同時に進めようとしている。現状はおよそ以下のような状態であると思う。(△は実質取り締まられていないグレーゾーン)

          -15  15-17 18-
------------------------------------------
AV      ×     ×     ○
ヌード  ×     △     ○
(*)    △    ○      ○
水着    ○    ○     ○

(*):下着、Tバック、扇情的な姿態、その他きわどいもの

規制派の主張をみると17歳以下はすべて×と言うことが既成事実のように語られているのだがこれは正しくない。もしも”Santa Fe”が違法であるならば現時点でも警察が古書店やネット上の掲示を取り締まっているはずである。規制レベルの強化を進めるのであればそれは法律の改正に明記すべきである。
3号ポルノの曖昧で包括的な定義に基づいて警察の恣意的な裁量で取り締まりが行われていることが問題の根底にあり、これは罪刑法定主義に反するものである。児童ポルノとは何か、については具体的で詳細かつ曖昧さのない定義を法律の中で行うべきである。

・過去訴求の禁止
今後もしも単純所持禁止が実施され、さらに前項の規制内容強化が行われたとしても過去訴求は禁止すべきである。すなわち、「法律の施工開始以後に製造されたこと、もしくは2009年6月以前の時点で明らかに違法でありかつ実質的な取り締まりが行われていたこと」を警察が立証できるもののみを取り締まり対象とすべきである。

・別件捜査と自白強要の禁止
「家宅捜索で児童ポルノを発見し、『性的関心を満たすため』との自白をとれば警察の勝ち」との乱暴な捜査を防ぐため、以下のルールを明記する。
(1) 逮捕・家宅捜索の理由となる容疑事実と、その結果発見された証言・証拠の双方ともに児童ポルノ法違反でない場合は、証言・証拠を無効とする
(2) 所持目的の立証は自白によらない

・押収証拠の保全
現代においてコンピューター・携帯電話などは生活・業務に必須のものである。その中には個人のプライバシーその他の生活・業務に関するあらゆる情報が収められている。その情報量は膨大であり、持ち主といえどもすべての内容を把握することは不可能である。その一方で電子情報は改ざんが容易である。
これらのことから、押収したコンピューター・電子媒体等を警察・検察側が保管することは被疑者・弁護側にとって著しく不利である。
そのため、以下の二点を求める。
(1) コンピューター・電子媒体・携帯電話などは中立の組織により保管し、警察・検察側と被疑者・弁護側双方にアクセスする権利を認めること
(2) 捜査、裁判、刑の執行終了後の押収品の返還を保証すること

・根拠のない仮想・創作への規制は行わない
3年後のアニメ・コミック・ゲーム等の仮想・創作への規制見直しについては、それらが犯罪を誘発すると言う客観的・科学的で明確な証拠が見つかった場合以外は行わない。

<参考リンク>
http://blog.goo.ne.jp/tbinterface/1572f2517ac43bbc0a7706c4bb485921/1a

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2009年7月 3日 (金)

論点整理 ~児童ポルノ規制に関して~

以下、児童ポルノ規制強化に関する私なりの論点整理をする。

1.「考えただけで罪になる」は正しいか?
近代刑法では「考えただけで罪になる」ことはないと学校で習った。具体的に計画を練るとか武器を調達するとかすれば未遂になるし、「殺してやる」などと言えば脅迫になるが、「殺したい」と思うだけでは罪にはならない。このことは単純所持の禁止や架空・創作への規制において問題となる。
そもそも自分の考えを書き留めただけでも犯罪になるのだろうか?例えば画家が子供の全身像を描く過程で服の下の肉体を詳細にデッサンしたらその時点で児童ポルノの製造になるのだろうか?
紙や電子メディアにアイディアを表現・記録することは、人に伝えるためだけでなく自分の考えを形作り確認するためでもある。これらのメディアは人間の頭脳の延長であり、記録と所持の禁止は思考の禁止に近い。故にこれは言論・表現の自由の侵害だけでなく、思想・信条の自由への侵害でもある。

2.客観的な根拠が示されていない
「考えただけ、あるいは考えを記述して保存しただけ」で罪になると言うのは現在の刑法の体系からの大きな逸脱でありこれを押し通すには相当な根拠と緻密な議論が必要だが、これまでのところ客観的な根拠が何も示されていない。「日本は児童ポルノの発信源」「児童の性的被害が増大している」等の言葉は繰り返されているが、例えば「児童ポルノサイト数○○のうち日本は○○%」とか「押収された児童ポルノのうち○○%が日本で撮影されたもの」などの具体的に基づいた説明がなされていない。
さらに「架空・創作を含めた児童ポルノが児童に対する性犯罪を誘発する」とするには大規模な心理学的調査が必要だが、いったい誰がいつ何処でどんな調査を行ったのだろうか。
これらの疑問に対して具体的な根拠を示すことは法案提案者・推進者の義務である。

3.「何が違法になるのか」具体的な情報が示されていない
保坂展人議員が宮沢りえの「Santa Fe」を例に挙げたのは適切だった。
http://blog.goo.ne.jp/tbinterface/
指摘されて初めて児童ポルノ規制法強化の対象が広範であることに気づいた。15歳~17歳の水着姿もポルノに当たるのか?どんな構図やポーズが「性欲を興奮させ又は刺激するもの」になるのか等々、法律が成立してからではなく現在のこの段階で具体的に示すべきである。

4.不当逮捕・不当捜査の危険性
例えば草薙剛のケースが記憶に新しい。この場合「酒に酔って裸で暴れた」と言う容疑事実を固めるためにどうして家宅捜索が必要だったのか、捜査令状の具体的内容を検証した報道に出会ったことがない。「覚せい剤でも出てくれば見つけもの」と言う見込み捜査だったのだろうか。
おとり捜査や違法画像添付メールを送りつけるなどの危険が指摘されているが、それ以前に「家宅捜索して何か出てくれば警察の勝ち」と言う乱暴な捜査手法を奨励することになるのが恐ろしい。

5.歴史の抹殺
所持禁止は焚書と同じ効果をもつ。簡単な事実だけを文字で記録することは可能でも具体的な写真や動画あるいは詳細な絵などを残すことが許されない場合、歴史を鮮明なイメージとして記憶することは困難になり、人々はわずか数年前のできごとさえ曖昧な形でしか思い出せなくなる。
例えば「Santa Fe」の広告を載せた新聞の縮刷版や当時のスポーツ新聞も処分しなければいと仮定する。そもそもの問題はここ数十年の間、十代なかばの少年少女にかなり際どい服装、踊り、歌詞、演技などをさせてきた芸能界や、かれらを性的興味の対象としてもてはやしてきたマスメディアに起因する。そして卑猥な内容のスポーツ新聞や週刊誌を電車の中で平気で広げるような日本の大衆文化にも原因の一端がある。そんなことがつい最近まで当たり前であったと言う社会の雰囲気、それが突然違法化されると言う異常事態、こう言った激動を鮮明なイメージで具体的に記録することが許されなくなるとしたらそれは歴史の抹殺である。
ベトナム戦争の悲惨さを世界に伝えたピューリッツァー賞受賞写真「戦争の恐怖」(http://blog.goo.ne.jp/goo1234makito/e/de89950933f98dfa87159d1f44b1defc)も児童ポルノになるのだろうか。戦場やテロの映像には裸の児童や子供の遺体が写っていることも多い。それらは戦争・テロ・犯罪の残酷さを示す貴重な証拠である。児童ポルノ規制法は運用次第では検閲の手段となり、戦争や圧政などの負の記憶を抹殺するものとなる。
一度破壊された記録は戻せない。歴史を抹殺したら日本人はもはや自らの歴史に責任を持てなくなる。

6.欲望を無意識下に閉じ込めることはかえって危険ではないのか?
精神分析やカウンセリングでは無意識化の願望や恐怖を自分で表現して理解することが治療の前段階だと聞いている。小児性愛の傾向をもつ人が自らの特異な嗜好を具体的に理解せず欲求を抑圧して生きていくことは危険ではないのか。自分の欲求を誰かに知ってもらいそれが過ちであれば制止してもらう機会を奪うことにならないか。小児性愛者もまた生きる権利や、適切な診断と治療を受ける権利を持っている。彼らを地下に潜らせてはならない。
小児性愛や弱者への虐待は支配欲や征服欲に近いものである。心の中にそのような邪悪だが強力な駆動力を抱えた人物は、時として優れたリーダーシップを発揮したり先駆者になったりすることもあるが、一方で同僚・部下・家族・友人にとっては危険で厄介な猛獣のような存在にもなると言う。彼らへの診断と治療は、同時にDVや職場・学校におけるパワーハラスメント等の一見無関係な犯罪の防止にも役立つ。

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